ネットワーク管理あれこれ

ネットワークの主なトラブル

社内SEをしていると、当然ですが、なにか異常が起こると助けを求められます。
あるとき、「共有フォルダに繋がらない」とデザイナーさんからヘルプ要請がありました。
その人のコンピュータを見てみると、正常に動作はしているものの、確かにファイルサーバーのアドレスが見つからないと出ます。
また、ブラウザで試すと、インターネットにも繋がりません。
とりあえず、現状の作業ファイルをローカルフォルダに保存して再起動。
しかし、ダメです。
さらには、別の人も繋がらないと言いだし、あれよあれよと所内のほぼ全ての機械が、共有フォルダにもインターネットにも繋がらないという状態になりました。

そこで、メインのHUBとルーターを連結しているLANケーブルを一度抜去し、ノートPCを繋いでみると、会社で設定した192.168.10.* のIPアドレスが割り振られているのが確認できました。
さらに、ファイルサーバーのケーブルを戻してみると、ちゃんと接続でき、インターネットにも繋がります。
これでほぼ原因が判りましたので、後は場所の特定です。

原始的な方法ですが、HUBからサーバーを除いてLANケーブルを抜去し、一本づつ戻していきます。
線の戻ったパソコンは、共有フォルダに接続できるようになります。
デザイナーさん全員分のパソコンはOKになり、その他のケーブルを戻していくと、あるケーブルを入れた途端、元の木阿弥になってしまいました。

このケーブルは……役員室のか!
そう思って行ってみると……ありました。ソフトバンクで配布しているという、無線LANルーターです。

なんでも、親会社で配ったものだそうで、これで持っているiPhoneのパケット通信を減らせると聞いて、差し込んでしまったようです。

LANが繋がる仕組み

最近のIT技術は進化しているため、こうした機器を繋ぐだけで繋がると思っているようなのですが、ちゃんと仕組みがあります。

こちらの記事でもご紹介の通り、実はルーターをもって、インターネットとLANは断絶されています。
通常、インターネットをパソコンで見られるというのは、ルーターが代理でデータをうけとり、データを要求したパソコンに渡す、「中継」をしているためです。

ここで、一つ問題なのですが、では、「誰」からデータを要求され、「誰」に返すのかを、どうやって判断しているのでしょうか?
この仕組みが、ほぼ買ってきて繋ぐだけでインターネットに繋がる理由ではあります。

仕組みは、IPアドレスといい、先ほど出てきた、 192.168.10.*  というものです。
*の部分は、1~254までの数字が入ります。
例えば、デザイナー鈴木さんのパソコンは192.168.10.52、
デザイナー田中さんのパソコンは192.168.10.54 というように決めます。
ルーターは、 192.168.10.52 からインターネットのデータ要求があった
─ データが来たから192.168.10.52 に返す─ 次は192.168.10.54 からインターネットのデータ要求があった ─ データが来たから192.168.10.54 に返す─ という作業を高速でやっています。

「でも、そんな番号設定した記憶ない」
はい。ないと思います。この番号を自動で割り当てる「DHCP」というシステムが動いているのが、現在では普通ですので…

パソコン側には、人間が判りやすいよう、名前が振られます。
Windows10では、「DESKTOP- *****」などの名前が振られている、あの部分です。
そして、通常、立ち上がると、このDHCPに対し、「こういうPC名なんだけど、IPを割り当てて」と依頼を出します。
するとDHCPは、「了解。 192.168.10.52 を割り当てます」と返事をし、
DESKTOP- ***** = 192.168.10.52
という内部データを作成します。

ファイルサーバーなど、いつも接続するものは、DHCPに対して、この機器には必ずこのIPを割り振るよう、予約指定もできます。
例えば、ファイルサーバー FRSV01 という名前だとすると、 FRSV01には必ず 192.168.10.5を割り当てるように という感じです。
結果、ファイル共有として、 FRSV01 を指定すると、DHCPがそれは 192.168.10.5の事だと教えてくれるため、繋がるようになります。

この仕組みは、もちろん無線ルータでも行われますので、iPhoneなどにも 例えば 192.168.10.62のように、DHCPが割り当て、以降、ルーターが代行してインターネットに情報を取りに行き、無線LANを経由して渡す事になります。
これで自分のパケット代を使わなくていい訳です。

ところが
このDHCPには絶対に守らなくてはならないルールが一つあります。

一つのネットワークに、DHCPは一つだけ!

というルールです。

ここで、例に出した会社のトラブルについてです。
本来、LAN内には私が設定したDHCPがあり、デザイナーさん達のパソコンや、ネットワークプリンタなど、ほぼあらゆる機器がこのDHCPに依頼を出し、IPアドレスを受け取っています。
そこに、ソフトバンクで配布している無線LANルーターが繋がりました。
多くの無線LANルーターは、ネットワークに繋げてすぐに使えるよう、DHCPが付属しています。

結果、会社のネットワークはDHCPが2つになりました。

DHCPが一つだけに限定されている理由は、最初にIPが欲しいと依頼する要求が、LAN内のすべての機器に届く形式で行われるためです。
ブロードキャスト と言います。
このため、デザイナーさん達のパソコンは、IPを要求する依頼を出した時に、2つのDHCPがそれを受け取って、それぞれが回答してきたため、IPを受け取れなかったり、別のIPを受け取ってしまったりと混乱状態になったというのが原因でした。

機器を外したところ、全員、正常に戻りました。

ただ、この後必要になるだろうと、DHCP機能の無い、無線LANアンテナの購入を提案して、後に取り付ける事になります。

それにしても、ネットワーク関係の知識の無い人から見える位置に、拡張を繰り返した結果とはいえ、HUBを見える位置に置いてしまったのは失敗でした。

こんな、LANポートの空き口を塞いでしまう機材もあるので、こうしたものを購入してもいいかもしれないですね。

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