Raspberry Piをセットアップする(2022年版)
目次
この記事は
この記事は、以前に掲載したRaspberry Piのセットアップを記事の修正版です。
内容がNOOBSを使用していた頃とかなり変わりましたので、新たな記事として書き直しました。
Raspberry Piとは?
Raspberry Piは超小型のコンピューターです。
このように、クレジットカードとほぼ同じサイズですが、ちゃんとパソコンとして機能します。
元々は、学校でのコンピューター教育のためイギリスのラズベリーパイ財団によって開発されたコンピュータなのですが、使い勝手が良く、そして入手しやすい価格のため、IoT用シングルボードコンピュータとして大人気になっています。
ちなみに、この写真のRaspberry Pi は2Bと呼ばれるタイプです。
現在は、大きさはそのままに処理能力が向上した3Bや、4Bが登場しています。
キーボード・マウス・モニター・LAN・電源の接続
Raspberry PiはUSBやHDMIが用意されているため、モニターやキーボードやマウスは通常のパソコン用の物がそのまま使用できます。
LANも普通の有線のLANケーブルが使用できます。
一方、3B以降のRaspberry Piには、無線LANとBluetoothを搭載しているため、キーボードやマウス、LANは無線にする事も可能です。
モニターはHDMIで接続します。
Raspberry Pi 3BはフルサイズのHDMI、Raspberry Pi 4BはMicroHDMIなので、互換性はありません。
モニターにHDMI入力が無い場合は、モニターの入力形式にあわせた変換アダプタを用意しましょう。
例えば、使用するモニターが少々古いもので、青いプラグを使用するD-Sub 15ピンのモニターの場合は、HDMI→D-Sub 15ピンの変換コネクタを使用します。
記憶装置としてのSDカード
パソコンの場合は、記憶装置(ストレージ)としてSSDやハードディスクを使用しています。
Raspberry Piも小型のパソコンなので、記憶装置が必要で、MicroSDカードを使用します。
MicroSDカードは、スマートフォンなどの記憶媒体としても使用されていますから、古いスマホのものが余っているかもしれません。
ただし、注意が必要です。
Raspberry Piは基本的に32GB以上のMicroSDカードを認識できません。
最近は128GBとか、大容量のMicroSDカードをスマートフォンにセットしている方も居るでしょうから、容量にはご注意ください。
また「A1対応」のMicroSDカードであるかも確認しましょう。
特にRaspberry Pi 3B Raspberry Pi 4Bは性能が高くなった分、記憶媒体への書き込み速度が追いつかないと、性能を発揮できなくなります。
SDカードは慎重に選択しましょう。
Raspberry PiにOSをセットアップする
Raspberry Piを使うためのOS Raspberry Pi OS をインストールします。
Raspberry Pi Imagerの入手
Raspberry Piの本家サイトに行き、ご自身が使っているパソコンのOSに合わせたインストーラーを選択してください。
サイトで、Computers>Software の順で選び、Raspberry Pi OSのインストーラーをダウンロードするページへ進みます。
私はWindowsパソコンを使用しているので、Windowsバージョンをダウンロードします。
執筆の時点では、imager_1.7.2.exe がダウンロードされました。
このファイルを実行します。
特にインストールで選択肢などはありません。
Finishを押下すると、プログラムが立ち上がります。
Windowsに Raspberry Pi Imager として登録されているので、インストールだけして起動しなくても大丈夫です。
SDカードへOSの書き込み
Raspberry Pi Imager でRaspberry Pi OS をインストールしてみます。
起動画面です。パソコンにはSDカードを接続しておきます。
「OSを選ぶ」ボタンを押下します。インストールするOSを選択する事が可能です。
OSは32ビット版、64ビット版、legacyは旧版です。それぞれフルのものと、軽量版があります。
「ストレージを選ぶ」を押下します。使用したWindowsパソコンでは、SDカードがFドライブとして認識されました。容量も32GBで合っています。
使用するSDカードは完全に消去されるため、確認が表示されます。
選択したOSが書き込まれていきます。
書き込みが完了すると、SDカードは取り外しできます。外してRaspberry Piにセットしましょう。
初回起動時設定
パソコンでRaspberry Pi OSを書き込んだSDカードをセットし、電源を投入します。
Raspberry Piには、普通のパソコンのように電源スイッチは存在しません。
電源を繋げば、それで起動をはじめます。
ここからは、モニターを撮影したモノなので画像が悪いですが、初回起動時の設定画面になります。
最初はウェルカムメッセージになります。
国を選びます。デフォルトはUK(イギリス製だから?)なのでJまで上にスクロースします。
ユーザーを作成します。以前はpiというユーザーが自動作成されていましたが、セキュリティの関係から廃止になりました。
一部のモニターでは画面切れを起こす事があるので、調整できます。
Raspberry Pi 3以降は無線LANを内蔵しているため、設定が可能です。ここではSkipします。
アップデートが行われますが、コマンドで最新化する場合はSkipでも大丈夫です。
初回設定が完了しました。右下のリスタートを押下すると、再起動します。
これでRaspberry Pi OSのデスクトップが起動します。
起動後の処理
起動したら、何はなくともまずはシステムをアップデートしましょう。
システムのアップデート
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。
sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade
Raspberry Piの設定
用途に合わせて各種設定を行います。
システムです。デフォルトのホスト名を独自のものに修正したりできます。
ディスプレイです。モニターで端が切れたりする場合調整できます。
このように、プルダウンから適切なモニターサイズを選ぶ事ができます。
インターフェイスです。何に使用するかで調整します。
SSH、VNC、I2CをONにした例です。外部からSSH接続、VNC接続と、I2C機器を接続できるようにしました。
パフォーマンスです。普段はあまり設定する事はありません。
ローカライゼーションです。基本的に日本に設定します。
VNCの設定
上記の、インターフェイスでVNCをONにしたときの設定です。
VNCアイコンを押下し、設定を開きます。Optionを選択します。
パスワードはVNC Passwordを選択します。
Passwordを設定し、OKを押下して確定します。
この設定が完了すると、例えばWindowsパソコンにVNCのクライアントがインストールされていれば、Raspberry Piの画面に接続できます。
VNCクライアントがインストールされていないときは、別ページの手順でインストールできます。
Raspberry Pi Imagerの新機能
Raspberry Pi Imagerは、上記の Raspberry Piの設定 を予め設定できるなど、いろいろ新機能が盛り込まれています。
SDカードの再利用
一度 Raspberry Pi のストレージとして使用したカードは、以前だと SDカードフォーマッター などが必要でしたが、Raspberry Pi Imager はSDカードのフォーマットが不要になっています。
ただ、以前にストレージに使用した場合、ディスクとして分割されているため、Windowsの機能でボリュームを削除する必要はあります。
コンピューターの管理から、ディスクの管理を選びます。
SDカードがセットされていれば、認識されているはずです。
ボリュームを選んで削除します。
このように、「未割り当て」の状態にします。
Raspberry Pi Imager の詳細設定
OSを選択すると,詳細設定の画面を呼び出すボタンが現れます。
内容としては Raspberry Piの設定 の一部を予め設定できるのが特徴です。
特に、公開鍵認証を設定できるのは非常に便利です。
SSH接続用 鍵作成
公開鍵の作成は、Tera Termを使用してみます。
この手順で、鍵を2つ保存します。
公開鍵の保存ボタンでは、.pub のついたファイル、秘密鍵の保存ボタンでは、拡張子のないファイルが保存されます。
どのコンピュータの鍵なのか、判るような名前をつけて保存します。
両方ともテキストファイルですが、無意味な文字列のファイルになります。
このうち.pubのついた公開鍵をテキストエディタで開き、内容を丸ごとコピーして ユーザー*****のauthorized_keysにそのまま貼り付けします。
ホスト名:、ユーザー名、Password:、Wi-FiのSSID、Wi-Fiのパスワード、ロケールなどを設定します。
もし、複数のRaspberry Piを保有していて、設定を再利用したい場合は、カスタマイズオプションをプルダウンで「いつも使う設定にします」にすると、内容が保存され、次回のインストールでも使用できます。
この状態で書き込みを押し、完了後、SDカードを Raspberry Pi にセットすると、初回起動設定は表示されず、そのままデスクトップが表示されます。
ただし、2020年7月時点では完全ではないようで、ロケールの国の設定が反映されていないようです。
初期設定ウィザード
デスクトップにウェルカムメッセージが表示されます。
タイムゾーンはJPにしたのですが、United Kingdomになっています
仕方が無いので、この部分はプルダウンからJAPANに変更します。
パスワード変更設定ですが、これは活きていますのでNEXTで大丈夫です。
使用モニターに黒枠が出る場合はチェックを入れます。再起動後に有効になります。
使用したのは3Bなので、Wi-Fiの設定画面が出ます。詳細設定でパスワードを送ったので、Wi-Fi接続できています。
恒例のアップデートです。コマンドで実行するのでSKIPしました。
セットアップ完了しました。
セットアップしたら一度再起動します。再起動までは、表示が英語表記なので、再起動により日本語を適用します。
この他、Raspberry Piの設定、VNCの設定は必要です。
ちなみに、この設定をキャンセルし、英語表記のままになったときは、ターミナルから
sudo piwiz
のコマンドで再度、呼び出す事も可能です。
ターミナルでの接続
ロケールの設定はうまく反映されませんが、Wi-Fiや鍵設定はかなり便利です。
鍵作成 で作成した秘密鍵をつかって、Tera TermでRaspberry Piのターミナルに接続してみましょう。
Raspberry PiにIPアドレスで繋ぎます。
不明なときは、本体のターミナルで
ip a
で調べます
ユーザー名は、Raspberry Pi Imager の詳細設定 で設定したユーザ名になります。
パスフレーズは、鍵作成 で入力したパスフレーズです。
そして、鍵作成 で保存して置いた、拡張子のない秘密鍵の場所を指定します。
パソコンのターミナルから、Raspberry Piに繋がりました。
この方法なら、Raspberry Piに設定したIDやパスワードが万一漏洩しても、秘密鍵を配布したパソコンからでなければ、ターミナルに接続できません。
Iot機器のセキュリティ上、設定は必須ではあるのですが、手動での設定が少々面倒なので、ついつい疎かになりがちでした。
Raspberry Pi Imager の詳細設定と、Tera Termを使用すれば簡単に設置できますので、是非活用して頂きたいものです。
ファイルを転送する
Raspberry Piと、Windowsパソコンの間でファイルのやりとりが必要になる場合があります。
例えば、ほとんど固定の設定ファイルや、別機で作成したプログラムのソースコードなどを送ったり、逆にRaspberry Piからログファイルを取得して調査したりなど、やりとりが必要になる場合もあるかと思います。
そうした場合、Raspberry PiはSSHが起動しているため、SSHファイル転送をつかって、ファイルをやりとりする事ができます。
コマンドでも可能ですが、便利なのでWinSCPを使用します。
ダウンロードしたファイルを実行します。
基本的にすべてのユーザー用でいいと思います。
許可を要求されますので、はいを押下します。(いいえはデフォルト)
使用許諾です。英語ですがそのまま承諾で問題ありません。
インストールは標準で大丈夫です。
私はコマンダー型を選択しています。
インストール内容を確認します。
インストールが進行します。
WinSCPは無料ですが、寄付の可能な方は寄付しましょう。
インストールが完了すると、プログラムの画面が開きます。
ターミナルと同様、ホスト名にはIP。ユーザー名とパスワード(パスフレーズ)はRaspberry Pi Imager の詳細設定 で設定したものを使用します。
次に設定のボタンを押下します。
設定で、SSHの認証を押下し、鍵ファイルを設定します。
そして、鍵作成 で保存して置いた、拡張子のない秘密鍵の場所を指定しますが、ファイルの種類をすべてのファイルにする必要があります。
鍵形式の変換の確認がでますので、OKします。
パスフレーズの確認を求められますので、入力します。
変換後の鍵ファイルを保存します。
私はそのまま保存しました。
変換後の鍵の保存先と名前が表示されます。
設定が完了したら、保存しておきましょう。
保存しないと全手順をもう一度行う事になります。
名前を適当につけて保存します。
今回はRaspberry Piという名前にしました。
接続できました。左がローカルのパソコン。右がRaspberry Piになります。
これでファイルをやりとりする事が可能になります。
以上
以上、2022年版のRaspberry Piインストーラでした。
最初の頃の設定記事を読み直しましたが、かなり変更点が多く、より便利になったと思います。
あとは、Raspberry Piが安定供給されてくれれば、問題ないのですが、2020年8月現在、半導体不足などの影響から、Raspberry Piの新規ハードウェアの入手は絶望的で、どこのショップでも売り切れ状態になっています。
近い将来、供給が安定して、この記事がお役に立つ日が来ることを祈ります。